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思考停止ワード禁止。「普通は」「当然でしょ」「わかるよね」…

ビジネスパーソンとして最も基本的なスキルって?

よく、報告連絡相談ができることが最も基本スキルです、と言われることがあります。それはまぁそうなのですが、これ以前に「思考停止しない」がさらに基本的なスキルではないかと思うこの頃です。自分では「報連相ができている」と思っている人に多いのですが、思考停止した上での報連相って、百害あって一利なし、なんです。

「報告」とは事実をできるだけ正確に伝えること。

ビジネス上、報告は何のためにするのかと言うと相手に「判断の材料を渡す」ということです。自分でまったく考えていない人は、報告がとても下手です。「やっておきました」「順調です」「いつも通りです」といった相手を安心させる言葉をちりばめながら、具体的なことを言わないのが彼らの特徴です。

以前、不動産の売買で買主さんと担当営業マンのコミュニケーションが取れていないな、ということがありました。担当Aくんに「状況報告して」と言うと「大丈夫です」としか言いません。何が大丈夫なのか、こっちは全然わからないし、彼がきちんと適切な判断をしているかどうかすら、見えないのです。

そこで「大丈夫かどうか判断するのは私だから、今現在の状況を報告して」と再度要望。そうしたら、彼が全く現状を把握していないことが判明しました。そりゃあお客さんだって不安になります。

「いつも通り」の書類を作ったら別の物件の地番が入っていた(出来上がった書類をチェックしていない)。「言われた通り」精算書を直したら、エクセルの計算式が間違っているのに気が付かなかった(検算していない)。お客様にもその調子で根拠もなく「大丈夫です」と言い、質問に全く回答していない。

これでは買主さんも必要な判断が全くできません。この件、価格の調整(所謂指値交渉)があったので、買主さんもどこまでなら出せるか、必死で考えている状況だったのです。相手方の状況も伝えず、ただ単に金額を上げてください、って言われてもどうにも判断のしようがないのは少し考えればわかること。それなのにAくんときたら「買主さんが全然答えを出してくれないんです」

結局彼には任せておけず、直前に私と同僚で価格をまとめてなんとか契約に漕ぎつけました。たぶん誰かが、コミュニケーションがうまくいってなさそうだな、と気が付かなかったら、この契約は成就しなかったな、と思った出来事でした。

「連絡」はできる限り捻じ曲げずに

連絡のポイントは、できるだけそのまま伝えること。ケーキを運んでいるとイメージしてください。背が高くてバランスの悪い大きなウェディングケーキをあなたが一人で運んでいます。斜めにしないように、バランスを崩さないように、一歩一歩慎重に。正しい連絡とは、こんなイメージの行為です。

「○○って言っておいて」と言われたら「×時×分に△△さんから“○○”と伝えるように言われました」と。“◎◎”になったり“●●”になってはいけないのです。時間や誰からの伝言か、いつまでにやってほしいのかなど、追加情報を加えることはありますが、○○を変える人も意外に多いので要注意。電話メモの書き方一つとっても、思考停止している場合ではないのです。

「相談」こそ、しっかり自分の頭を使って

「相談があるんですけど」と言いながら「前はこうだったので」「みんながこうしているから」「そんなことだれもやっていないから」と、全く相談になっていないこと、ありませんか?相談は言い訳の機会ではありません。

「こういうことが起こっていて、自分としてはこうしようと考えているのだが、客観的な意見が欲しい」というのが相談の本旨だと思うのですが、これができる人はなかなかいません。

「困っている」とバンザイするのが「相談」だと思っている人。彼は「困っている」という言葉で自分の思考を停止しています。困っているなら頭を捻って考える、その上での「相談」でしょ?と思うことがよくあります。

何を相談したいのかわからないケースもあります。本人が相談の中身をちゃんと把握していない場合です。「会社を辞めようと思うんですけど…」というのが典型です。辞めようと思うのは自由ですが本当に辞めるか辞めないかを決めるのは本人なので、そこは相談すべきことなのか?と思います。冷たいって?いやいや、相談は「辞めようかどうしようか」の前の段階ですべきことです。

(自分の言葉に責任を持つということ)

「普通はこうです」「みんなこう言ってます」これは言い訳。言う前にちょっと考えてみましょう。「当然です」これは考える余地のないときに使います。本当に考える余地はありませんか?身近に転がっている思考停止ワード。躓かないようにちょっと意識してみるだけで仕事がぐっと変わります。