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選択肢を用意する、というスキル。最近重要になってきています

これしかない、提案から、どうぞ選んでください、という提案へ

少し以前までの営業手法の王道は「他社と比較して自社の優位性を示す」ことにありました。

お客様に提案書を持っていくときはすでに結論が出ていて「やりますか?やりませんか?」「買いますか?買いませんか?」の二者択一で答えを迫っていく。というものでした。近頃はどんな商品でも選択肢が多様になってきて「お客様に決めて頂く」という手法に変わってきたように思います。

例えば通勤経路一つとっても、選択肢が多い方が良い

以前働いていた会社は、電車で30分ほどのところにありました。ところが私が普段使う路線は災害に弱く、よく止まります。少し遠回りですが、別の路線でも通えるため、時々そちらの路線も使っていました。あるとき、両方が動いていない、という最悪の状況に。そのとき、バスを使ってさらに別の路線に乗り換えることを思いつきなんとか帰ることができました。

こんな風に、日常のことでも、選択肢が多ければそれだけリスクヘッジができます。今日はほうれん草が欲しいな、と思っていて八百屋で売り切れていたら、別のものを買うか、別の八百屋を回るか、対応策を複数思いつくことができる、というのだって、スキルになるんです。お客様に対しても同じこと。ご要望に対して、できる限りの選択肢を提供することが、信頼につながることが多いです。

それでも限定された選択肢しか提示しない会社も多い

先日、ある商品にクレームをつけました。契約内容が間違っているのだが、是正するにはどうすればいいか、との私の質問に担当者は最初「変更はできないので、一旦解約して再度契約するしかありません」と答えました。他に方法はないのか、尋ねると「分かりません」と即答。

仕方がないので、自分で調べてみました。するとどうも「訂正する」ということもできるようでした。そこで「訂正はできないのですか?」と尋ねると「すみません、できます」との答え。

そもそも、最初から「是正するにはどうしたらいいか」との質問に一度もきちんと答えてくれない姿勢に不信感があった私は「じゃあ私の今持っている選択肢は、①解約して再契約する②訂正する、の二つだけですか?」と厭味ったらしく聞いてみました。「そうです」とまたも言い切る担当者。

「では解約します。そして御社ではなくて他社で契約をし直します。ということも私にはできませんか?」「・・・」「できるかできないか教えてください」「・・・できます」「ではそうしますから、至急手続きをお願いします」

最初から、全ての選択肢を示して判断するための材料をくれていれば、こんなに不信感を持たなくても済んだのに、と思う出来事でした。そして改めて私自身がお客様に対応するときは、「選択肢をできる限り提供しよう」と思ったのでした。他人の振り見て我が振り直せ。昔の人は良いこと言いますね。