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ドタキャン&両親からのクレーム~ブライダル・コーディネーター

人生の一大イベントであるウェディング(結婚式)。その華やかな舞台裏を取り仕切り、式の準備から式の進行までを滞りなく勧める役目のブライダル・コーディネーター(プロデューサー)は、女性の憧れの職業の1つでもあります。

この話は、Pホテルのブライダル部門で働いていた、私の友人のお嬢様(仮称F女史とします)にインタビューしてまとめた実話です。物事には光と影がある事が良く判った話でした。

ブライダル・コーディネーター、別名ブライダル・プロデューサーと呼ばれる職業に携わる人達は、結婚を予定しているカップルやそのご両親の要望に応じて、予算や式の内容などの詳細を総合的に取り仕切る役目を担っています。

式のプロデュースでは、カップルやご両親の希望にできる限り応えながら、神前結婚式なのか教会での式なのかなどの式の形式や花嫁と新郎の衣装選び、また、来賓や招待客の席次や食事、そして引き出物などについてのアドバイスを行います。

同時に、結納やお色直しの衣装、新婚旅行、そして仲人達へのお礼や付き合いの仕方、結婚式に関するしきたりや礼儀作法についても指導、アドバイスを行います。そして、ブライダル・コーディネーターの勤務先がホテルや結婚式場の場合には、ブライダルフェアに訪れた見込み客に対して、自社の式場を使ってもらうPRも担当する事になります。

さて、ここで前述の友人のお嬢様(F女史)が体験した驚くべき実話を紹介します。このカップルを仮称AさんとB女史、Aさんのご両親をCご夫妻、B女史のご両親をDご夫妻とします。2011年の正月明けに、AさんとB女史が連れだって彼女の勤務するホテルのブライダルフェアに訪れました。

式場を見学し披露宴で供される食事を試食したお2人は、すっかり気に入り年末に予定している結婚式の仮申し込みをして帰りました。その後、数回に渡る打ち合わせを重ね、その内の2回はAさんとB女史のご両親も同席して、詳細な打ち合わせをしました。

AさんとB女史は、「自分達らしい思い出に残る式を挙げたい」との希望から、さまざまなアドバイスをし、2次会はホテル外の某レストランでしたい旨だったので、そのように手配をしました。

そして、式が2ケ月後に迫り、式の段取りや進行をAさんとB女史のご両親に文書で伝えた所、ある日突然ホテルに訪ねて来て、「2次会をレストランでするなどもっての外だ。招待客への体面はどうする。お前たちがたぶらかしたんだな。」とCご夫妻が怒鳴り込んで来ました。

そしてその翌日、Aさんがホテルを訪れ、「何とか両親を説得して欲しい、どうしてもレストランで2次会をしたいので」と頼み込んできました。それを受けて、F女史が、「一度ご両親とご一緒に最後の下見がてらお越しください」と言って帰らせました。そして週末にAさんとB女史、そしてCご夫妻とDご夫妻がホテルに訪ねて来ました。

F女史が「今はレストランでの2次会は一般的なんです」などと説明した所、B女史が「私はレストランでの2次会には反対したのに、Aさんが強引にレストランですると言ったので・・。」と言って泣き出しました。

その後、F女史は蚊帳の外に置かれて、AさんとB女史のけなし合いとなじり合いに発展し、最後には、Cご夫妻とDご夫妻も巻き込み、「こんな婿はいらない、結婚は破談だ。」と言って帰ってしまいました。皆さんは信じられますか?F女史の弁では、このようなケースに近いケースは多々あるそうです。

ブライダル・コーディネーターは「話し合いの最中にカップル同士やご両親同士のけんか」、「自分達らしい式を挙げたいのに何をして良いか考えていないカップル」、「両親からのクレームと無理な注文」などに耐える精神力が必要との事です。また、結婚式は土日や祝日に集中するため、休みは平日しか取れず、それも返上して年中無休状態が続くこともあるそうです。

ブライダル・コーディネーターに学歴や資格は不問ですが、人と接する事が好きな人で強い精神力と体力が必要な職業と言えます。なお、イベント業務管理者やフラワーデザイナーなどの資格を持っていると有利です。

以前は30代の経験を積んだ人向けの職業でしたが、最近は「地味婚」が流行っていますので、若い人が自分らしいオリジナルなセンスを生かしたプロデュースが出来る職業となって来ました。