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優先的に読んでもらえるメール術・番外編2 メールが飛び交う理由

ビジネスメールが多く行きかう昨今。たくさんの業務メールがやりとりされる中、緊急のメールが後回しにされてしまいトラブルに発展することも多くあります。

過去3回にわたり、タイトル・本文・添付ファイルにそれぞれ焦点を当て、受信者が内容を確実に確認してもらうようなメールの書き方を説明してきました。また、前回は番外編1として、宛先の設定方法についても考えました。

しかし、そもそもなぜそんなにたくさんの業務メールが飛び交うようになってしまったのでしょうか。中には午前中の仕事はメールの処理だけで終わるなんて人もいるくらいです。今回は番外編(最終回)として、これほどまでに業務メールが飛び交う理由はなぜか、考えてみましょう。

相手の都合にかかわらず情報を送れる

メールは受信者がその場にいなくても、メールボックスに蓄積されます。忙しい人や事務所を留守にしがちな人にもメールを送っておくことで、その人が戻ってきたときに内容を確認してもらうことが出来ます。電話などでは、相手の都合が悪いと話すことが出来ませんから、相手の都合を考えずに送れるというのは大きなメリットです。

期日や場所などの重要事項をメモする必要がない

電話などでやり取りする場合、期日や場所、あるいは人名などの重要事項は電話口で伝え、メモを取らなければいけません。その際、聞き間違いや書き間違いにより、正しくない情報が伝わってしまうこともあります。

メールを使えば、文字情報として伝えることが出来るので、聞き間違いやメモの書き間違いによる伝達ミスは発生しません。また、電話で説明するより短い時間で、確実に伝えることが出来ます。

文字に残るため、経緯や責任の所在が明らかになる

メールが飛び交う一番大きな理由はこれではないでしょうか。かつてはやり取りした内容を議事録などで残さない限り、記録に残すことが出来ませんでした。電話のメモなども、片方が(たいていは聞く側が)一方的に手書きで残すものであるため、後々「言った」「言わない」「約束した」「してない」といった言い争いから、責任の所在の押し付け合いに発展してしまうこともあります。

しかしメールで残していれば、「5月17日の15時ごろに送った『○○』っていうタイトルのメールでお約束していますよ」のように、客観的な証拠を伴って経緯を確認することが出来ます。CCやBCCで複数の人に送信していれば、その人たちも証人になってくれます。

未読/既読によって認識の違いが発生する

過去の連載でも問題にしてきましたが、メールを送った側は「送信が完了しているから伝えた」つもりになり、受け取った側は「受診したメールは未読だから見ていない」という認識の違いから、問題が発生するケースがあります。

例えば急な依頼をメールで送った場合、送った側は「今日中の緊急の依頼だけど、朝一でメールをしたのだから定時までには完了するだろう」と考えているのに、実際には、受信者側は出張でメールなど見ておらず、当然作業を依頼されたことすら知らないという状況もあり得ます。定時を過ぎてから「まだ返信が来ないのですが」と電話しても、もう手遅れです。

メールの送りあいになって実際の問題が解消されない

メールは気軽に、迅速にやり取りができるというメリットがあります。しかしその反面、何か問題が生じたときに質問メールをだし、その返信についてまた質問メールをだし、ということを繰り返し、かえってやり取りが冗長になってしまうことがあります。これが電話であれば、質問に対する回答の内容に疑問がある場合、すぐにその場で聞きなおして回答をもらうことが出来ます。

迅速さを得手としているメールですが、結果的にいつまでたっても些細なやり取りが続き、最終的な問題が解決しないという、たらいまわしあるいは先送りのような状況が発生する可能性があります。

このように、メールはとても手軽で便利なものですが、それゆえに緊張感が薄れたり、認識の違いが発生したりすることがあります。かつてFAXが企業に浸透したころも「FAXで送っただけで済ませず、送る前に『今から送ります』という電話を、送った後には『今送りました』という電話をそれぞれ入れて、確実に相手に届いていることを確認しましょう」という指導がなされました。

メールも同様で、適切に使えれば非常に便利なツールですが、その便利さの上に胡坐をかいて油断してしまっては、かえって業務を滞らせることにもなりかねません。メールはあくまでもビジネスツールの一つであり、「しっかりコミュニケーションを取って確実に確認を積み重ねていくこと」が大切なのは、直接の会話でも電話でもFAXでも手紙でも変わりありません。

メールを過信せず、メールで送った内容をもう一度電話で、あるいは直接会話して確認することを忘れないようにしましょう。