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部下を育てると言うけれど、部下なくして上司は育たず

1.マネジメントと子育ては似ている

子供を産んで初めてそう思いました。子供って、勝手に育ちます。と言うのはちょっと表現が乱暴かもしれませんが子供はみんな「自分で育つ力を持っている」と思います。

親にできるのは彼らの「自ら育つ力」を阻害しないこと。それだけに尽きると言って過言ではないでしょう。

会社で部下をマネジメントする立場に立った時、どうしても「部下を育てる」という意識が生まれると思います。でもここで少し立ち止まって考えてみてください。部下だって立派な大人です。自分で考える力を持っている、ということを念頭に置きましょう。

もちろん「考える力」には個人差があります。その個人差を見極めるのが上司としての最初の仕事ではないでしょうか。人を動かす立場に立った時、人はついつい「どう動かすか」と自分主体でものを考えます。しかしながら「どう動いてくれるか」と相手主体で考えると、特に大人数を動かさなくてはならない時などはスムーズです。

少人数をマネジメントする時は家庭で子供が育つのを見守るように。大人数をマネジメントする時は保育園や幼稚園でたくさんの子供を同時に動かす保育士のポジションをイメージしてみるとうまく行くかもしれません。

2.人は他人を動かすことはできない

よく「人を動かす」とかもっと極端な例では「売らせる」とか「買わせる」とか言います。でも人は自分で動こうと思わなければ動かないし、売ろうと思わなければ売らないし、買うと思わなければ買いません。

そんな当たり前のことを、仕事をしているとなぜか忘れがちです。ビジネスとプライベートを分けて考えましょう、なんて人もいますが、もちろん、ある程度のけじめは必要という前提で、ビジネスもプライベートも、ものの尺度は同じじゃないかと思います。

上司が「ビジネスとプライベート」と言うときはビジネスに比重が、部下が同じことを言うときにはプライベートに比重があることも多いので気にしてみると面白いかもしれません。

いずれにしても、自分の部下それぞれのものの考え方の尺度をよく観察してみることは大切です。人は共感し、納得して動く生き物です。納得しなくても命令されたらその通り動く、という人もいますが、その場合形だけは動いても気持ちが入っていないので求める結果に到達しないことが多いのです。

他人に動いてもらうには、上司である自分が目指すものを明確にし、イメージを共有することが第一です。ときどき、とても抽象的な指示しかできない上に命令ばかりする上司がいますが、そんな人の部下はしぶしぶ動いているのでチームとしてうまく機能しないことが多いのです。

3.部下を持って初めて上司としての振る舞いがわかる

新入社員から数年の経験を経て初めて部下を持つようになり、そこからマネジメントを学んでいく、というのがサラリーマンの王道でしょうか。入社3年目くらいになると、マネジメントの本を読んでみたりして、部下を持った自分をイメージしてみる人もいるかもしれません。

でもやはり、立場によってものの捉え方や見え方は多少異なります。実際に部下を持ってみて仕事を一緒に進めていく中でだんだんとマネジメントの何たるかが自分なりに腹に落ちていくように思います。

弟の結婚式の挨拶で父が申しました。「親はなくとも子は育ちますが、子がなくては親は親足りえないんですよね」と。部下がいて初めて上司としての自分がある、というのがマネジメントにおいても本質ではないかと思います。