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映画「風立ちぬ」にみる仕事に対する考え方…”生きねば”

この夏、映画「風立ちぬ」はもう観ましたか?宮崎駿が5年ぶりに監督をした大人向けのアニメ映画として、世間を騒がせていました。ゼロ戦の設計者である堀越二郎は実在の人物で、彼が生きた時代を、美しくせつなく表現された映画は、多くの人を感動させました。今回は堀越二郎に見る、仕事感について、少しだけお付き合い下さいね。

子供の頃からの夢を純粋に追い続ける

昆虫が大好きで、大きくなったら昆虫博士になるんだとか、髪のおしゃれが大好きで、将来は美容師になるんだとか、誰でも子供の頃に思い描く夢があったと思います。主人公の堀越二郎も、飛行機が大好きで、将来は自分の飛行機を作る事を夢見た少年でした。彼の生きた時代はちょうど、飛行機が開発された時でもあり、夢が現実と近い所で見られた頃でした。

二郎の家は裕福であったので、興味のある事を十分に学べる環境であり、飛行機をつくる勉強に没頭でき、ドイツにも留学をしました。外から見る日本は、技術面で遅れていた事を身をもって体験し、益々設計や研究に励む事になります。

大学から企業へ

企業に就職をして、今まで学んできたことを実際に形に出来て、夢が実現する事になります。しかし、それは戦争用として作らなくてはいけませんでした。また、二郎が開発した作品は、ライバル企業と競い合い、受注を勝ち取らなくてはいけませんでした。

会社存続をかけて、厳しい現実に立ち向かいながらも作った戦闘機は、試験中に墜落をしてしまいます。会社にも大きな迷惑をかけてしまう事になりました。二郎は深く落ち込み、しばらく休暇を取る事にしました。

カプローニ伯爵と夢の中での話

やはり飛行機が大好きで設計に携わるイタリアのカプローニ伯爵がちょいちょい出てきます。幼少の二郎は近眼である事、飛行機を設計する人は、操縦もしなくてはいけないと思っている事を夢の中でカプローニに相談をします。カプローニは二郎に、それぞれの専門家がその専門を遂行すればいい事を教えてくれます。餅は餅屋的な・・・

また、設計はセンスであって、技術はその後からついてくる。創造的人生の持ち時間は10年、力を尽くして生きなさいと教えてくれます。二郎は自由な発想を限られた時間でやり尽くそうと考えます。時間との戦い・・・それは激動の日本の中で、二郎に与えられた試練でもありました。

挫折からの再起

二郎は仕事で失敗をして、落ち込んでいる時に、病を持った女性と運命的な再会をして、結婚をする事になります。一時も無駄な時間を過ごす事が出来ない・・・限りある時間との戦いは二郎の宿命でもありました。

二郎は専門的知識をさらに深めたり、広めたりするために、仕事の同僚としょっちゅう職場会議をしました。これが功を得てか、再び社運をかけた飛行機の試作品に挑戦するチャンスが回ってきます。最初の失敗から得た事、残り少なくなった創造的な事ができる時間の全てをかけて挑戦をして、見事ライバル会社から飛行機の受注を勝ち取ります。

一度失敗を経験して、とことん悔しい思いをしている中で、きちんと自分と向き合い、何を夢見てきたかをブレないで持ち続ける事が出来た人は、再び挑戦する時にはとてつもなく強くなっているものだと思い知らされました。限りある時間の中で、精一杯に生きようとした、とても美しくもせつなすぎる二郎から、素晴らしい仕事感を頂きました!