正しい敬語を正しい場面で使えるようになろう
会話やトークマナーは、正確に話すよりTPOに応じた話し方をするのが大事ですよね。とはいえ、やはり面接となると話は別です。
いかに正しい敬語、謙譲語、尊敬語を自分のものとして使いこなせるか、ここを面接官は見ています。
正しい敬語と間違った敬語
たとえば、以下の使い方ではどちらが「正しい敬語」でしょうか?
①「失礼いたします。わたくし、山田太郎と申します。よろしくお願いいたします」
②「失礼申し上げます。わたくし、山田太郎と申します。よろしくお願い申し上げます」
正解は・・・
「失礼いたします。わたくし、山田太郎と申します。よろしくお願い申し上げます」
失礼するのは行動なので、「~いたす」。よろしくお願いをするのは言葉なので、「~申し上げる」。
なんでもかんでも「いたします」と言う人が多いようですが、よろしくお願いいたすのは相手側なので、お願いを強要することになります。それでは失礼ですよね。こちらからお願い申し上げるのが正しいのです。
では、以下の使い方ではどちらが正しいでしょうか?
①「御社の社会的な活動について、大変な興味を持ちました」
②「御社の社会的なご活動について、大変な興味を持たせていただきました」
正解は・・・
①です。②は、相手側のすることについて必ず「お」や「ご」をつけなければならないと思う人が多いですが、必ずしもそうではありません。むしろ、そのあとの言い方のほうが大切なのです。
「御社の社長である田中様は、被災地への募金活動も頻繁になさっておられて」
「御社の製品をじっさいに使用しましたときの感動を今でもはっきり覚えております」
など、簡潔にかつ失礼のない言い回しで、内容の本質をいかに相手にちゃんと伝えるかが大切なのであって、「失礼のないようにとにかく丁寧な言葉で言わなければ」とだけ考えていると、「わたくし、御社のご製品を利用させていただきまして・・・」などという回りくどい、そしておかしな日本語になってしまいがちです。
「お目通りかなって大変恐縮です。本日はお時間をいただきまして」などといった、古式ゆかしい言い方も悪くはないですが、あなたの年齢が30代そこそこであれば「お時間いただきましてありがとうございます。お目にかかれて緊張しております」など、素直に感想を述べるほうが面接官としてはイメージアップです。
正しい敬語を学ぶのに役立つ本
やはり、正しい敬語が面接のときにさらっと出てくるようになるには、少し昔の本を読むことですね。
ビジネス書や自己開発書もいいですが、時代小説や昭和の文豪と呼ばれる代表的な小説、たとえば夏目漱石や池波正太郎のような作品ですが、今の面接に使う敬語も、そのころと文法はあまり変わっていません。
ふだんはくだけた会話で楽しむことが、職場でもかわいがられる秘訣だと思いますが、それも「ここぞ」というときにはきっちりした敬語が使えてこそ。
ただでさえ緊張する面接だからこそ、いつもどおりの慣れた話し方で挑めるよう、普段から正しい敬語をマスターしておきましょう!