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油断大敵!百戦錬磨の面接担当者をナメてはいけない理由

就職活動中の学生の皆さんは、様々な情報収集に励んでいることと思います。履歴書やエントリーシートの書き方、自己PRの仕方、面接での質疑応答対策マニュアルなどなど、ありとあらゆる書籍やインターネットのサイトなどを利用しているのではないでしょうか。

事前の準備と研究はとても大切なことですし、『就職』で成功するために努力を惜しまない姿勢は感嘆に値するでしょう。しかし、あまりにも念入りに対策をし過ぎた結果、「あなた」という個人の姿が掻き消えてしまったとしたら、それは本末転倒というものです。

自分を偽ろうがウソをつこうが、どうしてもあの会社に入りたい!そう思う気持ちはわからないでもありません。しかし、自分ではどんなに完璧な就職対策マニュアルという鎧を身につけたつもりでも、面接担当者には中味が透けて見えているとしたらどうしますか?

企業によって多少の違いはありますが、たいていの場合、面接担当者は面接に慣れています。何百人、何千人のエントリーシートや履歴書に目を通し、面接では顔を見て話しをしているのです。つまり面接担当者は『面接のプロ』と言えるでしょう。

「こう聞かれたら、こう答えよう」それは裏を返せば「こう質問したら、こう答えるんだろう?」と予想されているのと同じです。そして、それは大体において当たります。それはいったいなぜなのでしょう?答えは簡単です。面接担当者はそういう準備を念入りにしてきた学生達ばかりを相手にしてきている、いわば百選練磨だからです。

それなら自分は答えを捻り、他の学生とは一味違う面を見せてやると息巻いているあなた。面接担当者はそんなふうに他の学生とは差別化を図ろうともがく学生とも、数え切れないほど話しをしてきています。

興味深いのは、明らかに奇をてらった答えを返された場合、かえってその先の質問で揺さぶりをかけやすくなる、というのが面接担当者の共通した意見としてあったことでしょうか。

誤解しないでほしいのは、面接担当者は何もあなたに恥をかかそうとしているわけではない、ということです。今の答えは本心なのか。どういうつもりで発言したのか。そういうことを確認したいだけなのです。そのため、もしもあなたがボロを出してしまったら、気遣うようにその先の質問をかわしてくれるかもしれません。ですが、そんな流れになったとしたら、明らかにあなたはその質問の答えによってしくじった、と言えるでしょう。

要するに、本当にそう思っていないことを「こう答えたら面接で有利になるはずだ」などという打算で安易に作ってはいけない、ということです。それでも、どうしても「実はそう思っていない」内容の返答をするのだとしたら、どれだけ突っ込まれても揺らがない真実味を身につけておきましょう。

ただし、これは本当に難しいことです。人間は自身で経験していないことや、思っていないことをあたかも自分の中にある経験や思想として話そうとすると、必ずストーリーに綻びがでるものです。「こう言えば面接では有利になるはずだ」という考えからでた答えは、面接担当者の心にはまず響きません。面接担当者は別に奇抜な話しやオチのついた笑い話を聞きたいわけではないのです。

この学生はどういう人柄なのか。彼のヒューマニティーに影響を与えたのはどんなことなのか。いろいろなことに臨機応変に対応できるのか。意欲的であり、なおかつさらなる伸び代はありそうか。そういうことを考えながら、あなたを観察しているわけです。マニュアル通りに答える学生が興味を持ってもらえるはずがありません。

あれこれ小細工をするぐらいなら、自分が経験してきたことはどんなことなのか。これから先、どんなふうに社会人として努力を重ねていきたいのか。そういう実のある内容について、誠意を感じさせる態度で話せるように心がけましょう。

面接担当者は出来るだけフラットな感覚で学生と話しをすることを心がけています。しかし、面接担当者だって人の子です。面接の最初から最後までフラットでいることはムリですし、もしそうなったとしたら、あきらかにその学生に興味を示していない、ということの表れなかもしれません。

好意と悪意の真ん中に置かれた面接担当者の感情の針をどちら寄りに振れさせるかは、あなた次第です。「こう答えれば好意の側に針が振れるはず」という魔法の答えはマニュアルの中にはありません。

完璧な答えにばかりとらわれるのではなく、どうすればあなたの個性が光るのか、そしてそれを表現することができるのかをもう一度よく考えてみましょう。マニュアルはあくまでも参考資料であり、決して台本ではないのですから。