派遣会社はつらい!派遣先から突きつけられる要求のあれこれとは?
派遣会社―― 企業とスタッフの間でピンハネしてるだけの楽な商売。
極端に言えばそんなイメージを持たれてしまうことがあるようです。
一つには派遣会社という存在自体が世間ではまだ曖昧にしか理解されていないからなのでしょう。
それは仕方がないことなのかもしれません。
人材派遣という分野が広く世の中で認識されるようになってから、さほど年数が経っていないからです。
他の業界のように人の意識の中に広く浸透しているわけではありませんから、わからなくて当然なのかもしれませんね。
派遣会社は民間の企業という事実
派遣会社と聞くと職安と混同して考える人がかなり多くみられます。
「求職者に仕事を紹介してくれる場所」というぼんやりとしたイメージからそうなるのでしょう。
共通するキーワードは「仕事」ですが、それ以外の部分は職安とは存在の意味そのものが違います。
まず第一に職安とは正式名称を公共職業安定所といい、国が設置している機関です。
失業者の拡大を予防するため再就職を促し、国民の生活を安定させることが第一の目的、というわけですね。
しかし、派遣会社というのは民間の企業です。
利益活動によって会社を存続させていくわけですから、物を作って販売する会社となんら変わりはありません。
派遣会社が売る「もの」が派遣スタッフの労働力であるという、目に見えるか見えないかの違いはありますが。
(派遣会社が売る商品は労働力
派遣会社が売る商品―― すなわち派遣スタッフの労働力を買ってくれるのは誰だと思いますか?
そう、派遣スタッフの労働力を必要とする企業です。
ですから、派遣会社は顧客である企業に対し、様々な営業努力をしなければいけないわけです。
例えば家電製品を買う時のことを思い出してみてください。
いくつものメーカーがあり、それぞれの商品には特徴の違いなどがある。
メーカーの営業だったら自社製品を選んでもらえるよう、セールストークやサービスで客の心をつかもうとしますよね。
派遣会社の営業も同じです。
自社の派遣スタッフを使ってもらえるよう、客である派遣先の企業に様々なアピールをするわけです。
そして、どの商品にするか決めるにあたり、客の方も売り手に対して駆け引きを始めませんか?
どのぐらい値引きしてもらえるのか。
何かオマケはつけてもらえるのか。
故障した場合はどのように対応してもらえるか。
派遣の世界でも同じことが起きているのです。
客である派遣先の企業はメーカーである派遣会社に様々な要求を突きつけ、それに応えられるところを選ぶというわけです。
お客様は神様です、とは言うものの…
多くの派遣会社が乱立している今、顧客の取り合いが起きています。
複数名の派遣を常時使うような会社は派遣会社にとっては優良な顧客なわけですね。
そのため、派遣先企業からの無茶とも言える要望にさえ応えようとしてしまう傾向にあるのもまた事実。
例えば…。
若ければ若い子ほどいいので、年齢は25歳以下で。
既婚者は絶対にダメ、独身者限定の子しか受け付けない。
短大卒以上で身元のしっかりとした子に限る。
上記のような条件をだされることなど、珍しくもなんともありません。
年齢制限が違法だ、などということはもちろん承知のうえで言っています。
そして当然のように事前の面接と、ある程度のプロフィールを要求されわけですね。
派遣スタッフの事前面接や履歴書提出などはもちろん違法なわけですが。
さらにはエスカレートしてくると突きつけられる条件もどんどん方向が変わっていくこともしばしばです。
ほっそりとしたスタイルのいい子を。
口答えしない、素直の性格の子を。
茶髪ではない、上品なイメージの美人を。
こうなってくると、すでに個人の好みの問題では?と勘繰りたくなることもあります。
上記だけ見ると男性側からのセクハラめいた要望に感じると思いますが、何も要求は男性側だけのことではありません。
人事権を持つ女性管理者からだされる要望にも様々なものがあります。
例えば…。
B型(血液型)の人とは気が合わないからB以外の人を。
中学生までの子どもがいる人はフルタイム働けるとしても絶対にダメ。
○○高校出身者はダメ。
などなど、本当に泣きたくなるような要求をだされることがままあるのです。
それに対し「ふざけるな!」と言えれば気持ちも楽でしょうが、現実としてそうはいきません。
なぜなら、派遣会社は単なる民間の一企業だからです。
顧客の機嫌を損い、会社の利益損失につながるようなことが簡単にできると思いますか?
派遣スタッフと派遣先企業の中間に立って楽をしているどころか、まるで中間管理職のように両方からの突き上げに耐える。
派遣会社の営業職にはそんな苦労があるのです。