チャンスを逃すな！学生のアルバイト、安易に考えていませんか？

短期のアルバイトなどを探す場合に、学生相談所を使った経験のある人は多いと思います。さまざまな職種や期間、募集形態が掲示板に表示され、人気の職種は募集者間でジャンケンによる争奪戦があるなど、懐かしく思い出します。学生時代のアルバイトは、報酬を重視してする場合と興味の赴くままする場合の２種類があるようです。記憶の残るアルバイトは、後者のほうが断然多かったようです。しかも、就職に直接役立つアルバイトも多く、アルバイトを安易に探すことは損だと思います。そこで、役に立ったアルバイトを紹介してみたいと思います。

一番印象に残ったアルバイトは、旅行代理店のカウンター業務でした。学生のアルバイトではありませんが、知人経由の紹介で大学１年の夏頃から始めました。最初は、電話の取次だけでしたが、しだいに旅行ブックの基本、ＡＢＣを使いこなして、カウンターに訪れるお客さんの旅行の提案をするようになっていきました。今では、パソコンの端末で旅券から宿泊券、ルート案内までしてくれますが、昔はその方法で旅行を企画していたものです。

新婚旅行のお客さんの場合は、式の翌日に出発なので、一緒に交通機関を使って成田空港まで行き、搭乗券を手配して出発してもらいました。旅行案内には、現地についてからのガイドや観光案内などの説明書も添付します。一生に一度の旅行なので神経を使いましたが、無事空港から送り出すと充実感がこみ上げてきたものです。

そうした経験を積み重ねていくうち、パスポートを取得するように主任から言われました。海外添乗の経験をしてもらうために必要だったのです。海外添乗の初経験は、香港・マカオ旅行で、大企業の奥さんたちがお客さんでした。目的は、ショッピングです。５人組の奥さんたちは、とても品のいい人たちでした。まさか、学生の添乗員だとは知らずに引率されていることにも気づかず、無事に香港に到着しました。

香港空港は、ビルのあいだを縫うように着陸する世界屈指の危険な空港です。事前にそれを知っていたので助かりましたが、もし主任からそれを聞いていなかったら卒倒したかもしれません。無事空港に着陸できると、足が震える思いがしました。空港のゲートを出ると、事前に予約していたリムジンが出口で待っています。奥さんたちをエスコートしてリムジンに乗せ、現地添乗の開始です。事前に勉強していた知識をよどみなく披露しながら、香港の町並みを観光していきます。奥さんたちのチェックしていたショップにも立ち寄り、何事もなかったように旅程を２日消化して、次に向かったのはマカオです。高速船を使って１時間、亜熱帯気候のマカオの太陽が眩しかったことを覚えています。

順調に見えたマカオ旅行でしたが、ここでちょっとしたアクシデントが起きました。当初、予定になかったカジノ体験をすることになり、カジノを訪れたのですが、奥さんの一人がカジノで大金をすってしまい、トラベラーズチェックで残した数ドルしか持っていない状態になってしまったのです。最初は、そのことを誰も知りませんでしたから、ホテルについてからが大変でした。国際電話で主任に電話すると、対処方法を教えてもらいました。しかし、安易にカジノへ案内した責任を問われて、タジタジしていたところを一人の奥さんに救われました。全て丸く収めてくれただけでなく、帰りの案内もしっかりエスコートしてくれるように頼まれたのです。

この経験があって、最初は興味のなかった旅行業に面白みを感じるようになりました。４年生最後の年の１０月には、総合旅行業務取扱管理者試験を受験して合格し、アルバイト先の主任に報告したところ、すぐに内定が決まりました。学生時代のアルバイトで、まさか人生が決まるとは思ってもいなかったので、今でも幸運だったと思っています。この会社へは５年ほど努めましたが、最終的には、危機管理に興味の方向が変わったのでＰＲプランナーに転職しました。

学生時代のアルバイトは、安易に考えずに、いっそ自分の興味のある職種でアルバイトするといいでしょう。もしかしたら、あなたの一生をかえるほどの経験ができるかもしれません。