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愛玩動物と関わるブリーダーになって見えてくるものとは

日本では、ペットショップで子犬を購入して飼うか、知人などの紹介で譲ってもらうケースがほとんどですが、欧米ではブリーダーを介して子犬を購入する方法が一般的です。

ブリーダーは、それぞれ得意分野の犬種を扱っているので、スペシャリストの選んだペットにハズレはありません。ここでは、トップレベルのブリーダーになるための事例を紹介してみましょう。

トップレベルのブリーダーになるためには

広島県の尾道市因島は、しまなみ海道の通る主要な島の一つで、造船と柑橘の島です。この島の南部に位置する田熊町に、GLOW JEWEL KENNEL(グロウジュエルケネル)があります。

代表責任者は、村上翔一さんが勤めています。ここの店では、ミニチュアダックスフンドとトイプードルをメインに繁殖・販売をしています。事業内容はそのほかに、ペットのトリミング、ペットホテル、炭酸泉を使ったペットの入浴などのサービスをしています。

村上翔一さんがブリーダーを目指したのは、小学校低学年の頃だったそうです。ペットの可愛らしい仕草や無邪気に甘えるようすを見ているうちに、将来は必ずペット関係の仕事をしたい、と思うようになったそうです。

高校を卒業すると、当初からの進路だったペット専門学校へ入学し、日本愛玩動物協会主催 愛玩動物飼養管理士2級、愛玩動物福祉協会主催愛玩動物搬送士、日本畜犬学会主催 小動物看護士、日本畜犬学会主催 繁殖指導員、全国専門学校協会主催 トリマー検定1級、全国専門学校協会主催 小動物販売士の資格を取得しました。専門学校は2年間なので、資格取得はハードスケジュールだったといいます。

愛されるペットを誕生させるまで

専門学校卒業後は、家の手伝いをしながら自己資金を集めてスタートしました。その後、徐々に繁殖犬を増やし、チャンピオン犬を作るようになってくると、店舗を開業するために高額な投資をして事業規模を拡大していきました。

中国・四国のドッグショーは、年間15~20回開催されます。自慢の繁殖犬を使ってチャンピオン犬を排出するようになってくると、業界内でも注目されるようになってきたそうです。

事業を軌道に乗せるまでに、5年間かけた結果、全国から引き合いが来るようになってきたと言います。

ブリーダーになる上での苦労は、生き物相手だけに休みが取れないことです。子犬の出産に立ち会って2日徹夜したことも珍しくないそうです。

しかし、自分の狙った通りの繁殖が成功すると、それまでの苦労がすべて報われた言いようのない充実感を覚えるそうです。ブリーダーの醍醐味は、売れる犬を作ることではなく、愛されるペットを誕生させることに意義があります。

年々、取り組みたい事業も増えて、炭酸泉のトリートメントを開始しています。この事業は、因島に新しいサービスを導入する目的があり、機械購入に100万円の資金が必要でしたが、ペットのケアに必要だと考えて宣伝効果も含めた出資だと思って取り組んだそうです。

村上さんが語る、この業界への転職の可能性

ブリーダーになるためには、最低2~3年間専門学校で学ぶことを勧めます。

専門学校時代の同級生には、当時30代の転職組もいましたから、その間の生活費と学費、その後の開店準備から事業が軌道に乗るまでの自己資金があれば転職は可能です。

しっかりした基礎知識、技術を身につけたほうがこの業界でやっていくには有利です。

また、専門学校を卒業後は、自分の目指したいブリーダーについて修行することも大切です。その後の事業展開も視野に入れて、早い段階からアウトラインを作って取り組めば、3年間で事業を軌道に乗せることも不可能ではありません。

事業開始当初の犬種選びは、重要なステップです。自分の追求したい犬種を選んで、繁殖犬を確保していくことが成功への近道です。地道に努力して、焦らずに頭数を増やしていき、小まめにドッグショーへ出て実績を積むことです。

ドッグショーには、ライバルのブリーダーも大勢来ていますから、そこでの情報収集も大事な仕事です。チャンピオン犬を出したブリーダーとの交流ができるようになれば、違うステップも見えてきます。

同業者同士で協力しあうことも、この世界では普通に行われています。したがって、コミュニケーション能力に欠ける人には向いていないでしょう。

実際に携わってみると、基礎基本に忠実にペットと向き合っていけば、出資して地道に努力した報酬だけが返ってくることに気づきました。愛玩動物は、モノではありません。

愛されるために生まれてくるのです。飼い主と心のつながったペットは幸せです。事業資金の捻出には苦労するでしょうが、やってみる価値のある仕事です。

チャレンジしてみてください。