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ダイバーの世界は指導者の実力次第で将来が変わる、その理由

エメラルドグリーンの海を前にすれば、誰もが自由に泳げることを考えるでしょう。色鮮やかな珊瑚礁、熱帯の魚、ウミガメやマンタの踊る海の中は、まさにパラダイスです。

日本の周囲は、海で囲まれています。どの海にも個性があり、人を惹きつける魅力があります。この海の世界で生活する方法の一つに、ダイバーになる、という選択肢があります。

ダイバーになるためには、心身が健康で耳に異常がないこと、最低限200m程度の遊泳力が必要です。Cカードと呼ばれるライセンスから始める方法もありますが、18歳以上ならいきなり国家資格の潜水士の免許を取る方法もあります。

ただし、未経験の場合は、ハードルが高いと思ってください。なぜなら、ダイバーの世界では潜水した本数でしか評価されないからです。優秀なインストラクターや潜水士は、ベテランになると5000本以上のエアを吸った経験があるからです。

潜水士の仕事は、ベテランダイバーによれば、20代で始めなければ務まらないそうです。数年間は、先輩の潜水士について指導を受け、仕事ができるようになるには5年以上かかるとも言っていました。

経験本数が少なければ、それだけ技術が未熟とみなされて仕事の範囲も狭くなってくるそうです。従って、最初の頃は、危険な割に給料が安いので続かない人もいます。

潜水士の水中作業は、サルベージや土木作業、水中溶接などの特殊なものから、水産物の採取作業、スポーツインストラクターまで幅広くあります。どの職種に就くにしても、技術がなければ相手にされません。

インストラクターを目指すなら、まず指導者を選ぼう

ダイバーのインストラクターになる場合は、Cカードから始めて徐々にエアの本数を消化し、ライセンスアップしていく方法と、養成学校に入学してライセンスを取得する方法があります。

どちらにしても、最低限、中型自動車免許と潜水士の資格を持っておくことが必要です。養成学校も各種ありますが、基礎からしっかり教えてくれるところを選ばなければ、実際にガイドを勤めるようになってから困ることになります。中途半端な気持ちでは、到底通用しない世界だということを常に意識したいものです。

最近は、素人のファンダイビングが流行っています。旅行会社では、ガイドをつけて催行しているはずですが、複数の客を数人でガイドしているところがほとんどです。しかも、粗製濫造のダイバーが増えたため事故が後を絶たない状況が続いています。

沖縄の第11管区海上保安庁のHPには、ダイビング中の悲惨な海難事故が多発していることを警告しています。この背景には、ダイバー養成をしている機関の怠慢に原因があると言われています。

もともと、水中での行動を目指したダイビングの指導は、マンツーマンが基本だと言われています。しかし、インストラクター一人に複数の受講者を任せるなどの不法行為としか思えない指導が蔓延し、結果として事故の多発を助長していると見られているのです。

したがって、インストラクターを目指すなら、ログ5000本以上の実績のあるベテランダイバーにマンツーマンで指導してもらうことを強くオススメします。

水中作業は、常に危険にさらされている

一方、サルベージや水中作業が主体のダイバーになるためには、潜水士免許の他に、小型船舶免許、水中溶接技術、切断技術、水中はつり、水中ボーリングなどのスキルアップが必要になります。

これらの技術は、サルベージ会社に就職して先輩から指導してもらう以外にスキルアップの方法がありません。プロの世界ですから、徒弟制度にも似た厳しい修行が待っています。

実際の作業を見ても、プロの仕事はすばらしいものがあります。水中溶接のプロの方などは、造船所のドックの中でダイビングし、足場の固定作業をしているところを見ましたが、ドックが排水されて作業箇所を見に行ってみたら見事に溶接されていることに驚いたものです。

プロのダイバーに危険だった経験を話してもらうと、想像を絶する体験をされています。造船所のドックの最下層で船台の固定をしていて、突然エアー切れを起こすアクシデントに見舞われ、緊急浮上したときには死を覚悟したそうです。

それ以外にも、作業中にレギュレターが砂噛みして何度も緊急浮上する経験をしたそうです。船底の貝類の欠けらが原因だったそうですが、命懸けの仕事だということが分かりました。

なぜ、20代からしかプロのダイバーになれないのか、このエピソードからも分かっていただけると思います。海での仕事は、やりがいのある世界です。

ベテランダイバーは、一度として同じ景色を見ることのない世界だ、と言われていました。20代からダイバーを目指すならいい指導者を探しましょう。