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自然を相手に仕事するアウトドアインストラクターってどんな仕事?

沖縄などのリゾート地を訪れると、さまざまなスポーツインストラクターに出会います。スキューバダイビング、シーカヤック、フィッシングなどの他、四国の大歩危小歩危ではラフティングなどの技術を教えるインストラクターもいます。

これらのインストラクターは、どのような経緯から職業としての道を見つけ出したのでしょうか。シーカヤックとラフティングに注目して、その辺の事情を調べてみました。

シーカヤックのベースは、ショップ経営

シーカヤックのインストラクターを目指すならJSCA公認スクールに通って、準備的な講習を受けSRPセーフティーレスキュープログラムを受講、さらにCRP心肺蘇生講習を受講してインストラクターの資格準備が整います。

最初は、インストラクター・ジュニアのカテゴリーから資格を取るのが無難です。徐々に、静水面でパドリング指導ができるカテゴリーⅠ、リバーカヤック、シーカヤックなど応用範囲の広いカテゴリーⅡの資格を取得してインストラクター資格を取得できるようにします。

インストラクターの業態は、事業をショップに置くタイプとソフト事業を中心とするタイプに分かれます。ショップの場合は、店舗を含めて初期投資に1千万円単位の費用がかかります。

ソフト事業では、200万円くらいの投資で可能です。職業として成立させるには、ショップ経営の方向が正道で、事業展開次第で収益を安定させることが可能です。

しかし、事業を軌道に乗せるまでの期間が不透明なのでハイリスクです。ソフト事業の場合は、事業展開そのものは仲間内のクラブ感覚で進展しますが、収益を期待できる状態になるまでの広報、普及活動に時間がかかります。

沖縄や九州周辺、瀬戸内海、太平洋沿岸地域は、ショップで事業展開することが可能ですが、日本海沿岸、北海道ではまだまだ広報、普及活動が必要な地域なのでソフト事業が中心となります。

しかし、今後の事業展開で有利なのは、日本海沿岸、北海道です。普及活動が進めば、リバー、シーカヤックともに未開の地としての付加価値があるからです。ソフト事業を中心に活動して、普及活動が進めばこれらの地域は競争相手のいないフィールドとしての価値が出てくるでしょう。

島根県でシーカヤックスクールをされている森山尚(もりやまひさし)さんは、ソフト事業を主体に普及活動に力を入れています。現在、島根県には、公認インストラクターは森山さんだけの状態です。普及活動が成功すれば、森山さんもショップ経営できる基盤が整うことでしょう。

ラフティング、小歩危のスリリングな流域をフィールドに

徳島県の吉野川水系にある小歩危は、ラフティングのメッカとして有名な地域です。ここで活躍するタオアドベンチャーは、6名のスタッフで活動しています。資格は、RAJインストラクターで、1週間みっちり講習して取得し、CRP心肺蘇生講習の受講、会社の規定に合格すればリバーガイドの資格を得られます。

通常、お客さんをガイドできるまでには1~2ヶ月かかり、同乗者の救助、フォローができるベテランガイドになるためには3年間必要だと言われています。

スポーツインストラクターは、どうしても季節商売という性格があるため、スタッフ全員オフシーズンの副職を持っています。冬季登山のガイド、スキーのインストラクター、美容師など職種はさまざまです。自分のライフスタイルを優先させて仕事をしているので、出てくるアイデアも発想が違っています。

それを実行してツアーという商品に仕上げる行動力が彼らの強みです。顧客は、彼らの催行するラフティングというスリリングなスポーツを通して日常のストレスを発散させ、エネルギーを吸収していきます。

アウトドアスポーツは、特殊な例外を除いて一人でするものではありません。必ず協力者がいて成立するものです。ラフティングの場合は、本部、陸上部隊、実行部隊の3つの隊に別れて行動し、それぞれの役割を通して連携し、安全確保を担保するしくみを作り出しています。

チームワークこそ生命線なのです。したがって、コミュニケーション能力は必須のスキルとなります。技術面は、経験値を上げることによって磨きをかけることができるので、真剣に向き合う姿勢さえあれば向上していきます。

シーカヤックにしてもラフティングにしても、自然を相手にするスポーツなので、事故が起きた時の危機管理が重要です。普段から専門の弁護士などのネットワークを準備して緊急事態に対処できる体制を整えておくことが大切です。

個々の技量もそれに比例しているので、ガイドしてもらう機会があれば注目してください。やりがいのある仕事であることは間違いありません。