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MOSを取得しているからといって事務派遣に有利になるとは限らない

マイクロソフトオフィススペシャリスト――MOS

なんだかえらく仰々しいネーミングですね。要するに、かなりの確率でどこの会社でも使用している、マイクロソフト社のソフトが使えるかどうかの判定がしやすい資格、というところでしょうか。

具体的に言えば、WordやExcelを使用して文書やデータの作成が出来るかどうか、ということの客観的な目安になります。AccessやPowerPointを使用する職場もありますが、圧倒的に多く使われるのはやはりWordとExcelでしょう。

「私はWordもExcelも使えます!」と口頭で言われても、どの程度使えるのかについては個人差が非常に大きくなります。ここをどう判断するかが、採用する側としては厄介なところでしょうか。

WordやExcelを使えるって実際どのぐらい?

例えば同じように「WordとExcelが使えます」という二人がいたとします。一人は実際にはコピペも満足にできないけれど「使えます」と堂々と胸を張っている人。

こういう人はけっこうたくさんいたりします。そしてもう一人は関数やマクロまで理解しているけれど「できるできる」と言わずに控えめな人。こういう人も意外にいたりするんです。

言葉だけ聞いていると、この二人はどちらも「WordとExcelが使える人」という括りに入ってしまうわけですね。実際にはソフト利用に対する大きな能力の差があることは歴然としています。

採用する側としては、そのあたりのところを見てすぐにわかる資格があれば、便利なのは間違いありません。ですから、それらを客観的に判断する一つの材料として、MOSはそれなりに判断しやすい資格だと言えるでしょう。

しかし、実際のところ資格を取得しているはずなのに「本当か?」と疑いたくなる人がいます。そして前述のように資格はなくても、かなりの使い手である場合もまたしかり。

資格だけでなくスキルチェックで判断する

そのような曖昧な判断を避けるために、派遣会社の多くはパソコンを使ったスキルチェックを実施するわけです。

つまり資格はあくまでもその証明であって、資格のみでスキルを判断するわけではありません。持っていさえすれば事務職を希望した際に断然有利になる資格ではないのです。

派遣登録の時に、事務職の経験はないけれどMOSを取得したので今後は事務職に就きたい、と希望する人がいます。

今までは事務とはまったく違う職種に就いていたけれど、平日勤務、週末休みの生活に変更したい。

しかし自分にはその経験がないので中途で応募してもなかなか採用してもらえない。せっかくパソコン教室に通ってMOSだって取得したというのに…。

そこで事務職の経験を積むために、まずは派遣という期間限定の仕事でもかまわない、と考えるわけですね。

気持ちはわかります。頑張っているのなら、ぜひそういう方向で決まればいいとも思います。

しかし、派遣スタッフは現場で即戦力となることを期待される立場であることを忘れていませんか?新卒であれば出来なくて当たり前のことであっても、派遣にはそれは許されないことがほとんどです。

つまり、WordやExcelを使って文書やデータを作成するなんてことは、出来て当たり前のことなんですね。

例えば稟議書の作成

きちんとその会社の形式に合わせた社内文書を速やかに作成できるか。データ管理等についてその会社の仕様を迅速に理解し、必要に応じて入力、変更などが実施できるか。そういうことが仕事として求められるわけです。

「このメモに従って稟議書作成しておいてね」

と言われて「稟議書って何ですか?」と聞いているようでは事務職に派遣されたところで役には立たないでしょう。Wordが使えるだけではダメなんです。

つまり事務で派遣されるためには、WordやExcelの操作ができるか?ではなく、WordやExcelを使って事務仕事をこなせるか?ということが非常に重要なのです。

「教えてもらえれば出来ますから!」と言い募られたところで、一から教えなければいけない手間のかかる派遣は受け入れてはもらえません。その手間をかけるぐらいなら、企業は新卒の採用を考えることでしょう。

MOSさえ取得すれば転職に有利になると信じている人がたくさんいます。それは、資格にまつわる広告宣伝の影響が多分にあるのでしょう。

『資格さえ取得すれば絶対に有利になる!』

そんな風にバンバン煽ってくるものだから「そうなのかな?」と思ってしまう人が増えても不思議はありません。しかし現実は残念ながらそんなに甘いものではないのです。

資格もだけど実力も大切

資格がないと履歴書の資格の欄に普通自動車免許ぐらいしか書くことがないから恥ずかしくて…。と言う人がいますが、そんなことはちっとも恥ずかしいことではありません。

職務経歴書でいくらでもカバーできるのですから、臆する必要などないのです。

もちろん、時間や金銭的に余裕があるのなら資格を取得しておくに越したことはありません。証明になりますし、前述と矛盾するようですが、確かに履歴書の見栄えがよくなりますから。

ただし、一番大事なのは実践として役立てることができるかどうかだ、ということを忘れないでください。