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地域に根ざした事業所に就職、浄化槽管理士は国家資格

浄化槽を使っている地域は、下水道の敷設された地域から外れた都市部の郊外などになります。都市部の下水処理場とほぼ同じ処理能力を持つ浄化槽は、好気性と嫌気性の微生物を巧みに利用した浄化装置です。

そのため、保守点検業者が定期的に汚泥の回収や清掃業務を行わなければなりません。浄化槽管理士は、その業務を行うための国家資格です。少子高齢化で地方都市周辺部の人口減により浄化槽は減少傾向にありますが、地域に根ざした事業所は信頼も厚く、まだまだ必要不可欠な業務となっています。

浄化槽管理士は、講習会と資格試験によって取得することができます。難易度はそれほどでもありません。受講した講習会の内容と試験科目を勉強していれば、ほぼ普通に合格できます。

事業所は、地域によって違いますが、分担性になっているところと競争になっているところがあります。事業所のレベルによって請け負う所帯も違ってくるので、資格試験も大事ですが、事業所全体のレベルアップ、チームワークが大切な職種といえます。

点検作業は、項目の見落としがないようにするため、通常2名以上でおこないます。担当地域を決めず、会社で報告会を開いて事業所全体で請け負っている所帯の特徴を把握するような取り組みをしているところもあります。

これは、一人では気づかなくても、何人もの目を通して注意箇所を発見できる可能性が高まるからです。浄化槽は、各所帯によって大きさや構造も違います。新しいタイプの浄化槽も次々に売り出されているので、勉強会を開いて研修することも大事な仕事です。

浄化槽は、汲み取り式の所帯と違い、構造上に脆弱な部分があります。例えば、台所の汚水に食用油が混じったとしたら排水管の詰まりの原因になるだけでなく、浄化槽のいのちである微生物にダメージを与えることになります。

トイレでは、トイレットペーパー以外の使用を避けなくてはなりません。ティシュペーパーや生理用品が混入すれば、浄化槽では分解できないため機能に支障をきたしてしまいます。

浄化槽を使っている所帯では当然知っている知識でも、お客さんで来ている人たちには分かっていない可能性もあります。したがって、浄化槽に対する広報活動も事業所にとっては必要な取り組みになります。

特に、競争で地域の浄化槽を取り合っている地域では、事業所ごとに人気不人気の差があるようです。ただ、保守点検をしただけで無愛想に帰るだけの事業所は嫌われます。

浄化槽だけでなく、その周辺の清掃をしたり雑草を刈り取ってくれるような業者は顧客から信頼されるものです。それらの作業は、顧客に気づかれなくても進んでするべきサービスでしょう。

病気療養などで長期の留守をする家庭でも、浄化槽の点検保守作業は続けなくてはなりません。もし作業を怠れば、浄化槽は死んでしまうからです。

浄化槽の保守点検作業を見ていると、汲み取り業者と違って汚物の匂いがしません。正常に作動している浄化槽は、微生物が活発に汚水処理を続けているからです。

しかし、万能の装置ではありません。水質に異常があれば、ただちに検査して原因を探して対策を講じる必要があります。時には、風呂で使用している入浴剤が原因で水の色に異常がある場合もあります。

浄化槽の保守点検には、細心の注意と観察力が必要です。事業所のレベルアップを常に図っている業者は、仕事もてきぱきしています。それだけの経験と実績を積んでいるからできることなのです。

浄化槽管理士に話を聞くと、浄化槽の蓋についたサビを落としたり周囲の雑草を処分したことで感謝されたりすると、仕事に誇りとやりがいを感じるといいます。

地域活動に積極的に参加している事業所もあります。建築業者から委託されて保守点検を行う場合には、若干の営業活動も必要です。

しかし、基本は、地域全体の浄化槽を正常に作動させて気持ちの良い環境を作り出すことに使命がある仕事です。今後も浄化槽のなくなることは考えられません。装置の仕様や規模の大きさは変わるとしても、地域に密着して地域に寄り添う浄化槽管理士の仕事は続きます。

保守点検の業務は、定期的に繰り返す業務です。夏の酷暑の時期、冬の厳寒の時期など、季節に関係なく作業は続きます。したがって、体調管理の大事な仕事になります。

体力はあまり関係ありませんが、ひ弱な人には向きません。求人情報はめったにありませんから、自分から事業所に出向いて求人の有無を確認したほうが無難です。

もし求人がなくても、自己紹介などのメモを受け取ってもらうと、求人が出たときには有利になります。転職を考えている人には向いている仕事です。ぜひ、探してみてください。