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プライドを失った社畜にならないためのスキルとは

社畜とは、会社に飼われている意思のない労働力のことを指します。入社直後から洗脳されて、プライドを剥ぎ取られ、理不尽な業務命令にも淡々と従う現代版の奴隷です。

作り方にはコツがあり、何があっても怒鳴りつけて萎縮させ、慣れてくる頃には無視して対応、最終的にはホンの少しの報酬を与えて酷使し続ける。

最初に気力を奪うと後々の効果が最大限に高められる。最後は、辞めようという気力さえ奪われてワーカホリックになり、体を壊すか精神を壊して退社するだけです。このような状況から脱出する方法はあるのでしょうか。

ブラック企業に近い地方都市のセールス会社に勤務していた頃の体験談です。体力と気力の限界、将来への不安、プライベートな時間を持てないことへの焦りなど、生活の全てに危機感を抱いて日々を過ごしていました。そんな中で唯一自分が自分らしく過ごせる空間は、最初は情けないことにトイレの中だけでした。

出社は午前9時です。個別に地図を持たされ、現地までは上司が同行して、そこから個々に営業を開始します。午後6時頃に帰社してからは、営業結果の分析と再訪計画をひたすら書いて、翌日の営業準備が終わる頃には午後10時を過ぎていました。

特に、営業成績が上がらないときにはピリピリした空気が社内に充満して、業務を終了しても自宅へ帰れる雰囲気がありません。その間、上司は分析資料や再訪計画を見て、部下を一人ひとりデスクの前に呼びつけ怒鳴りつけていました。次が自分の番だと思うと、きりきりと胃が痛んで最悪の気分だったのを覚えています。

営業職は、外へ出ている間は、比較的自由に動けます。ただし、営業準備で書いたコースを時間通りに回らなければ、後々吊るし上げの材料にされますから、時間的な余裕は余りありません。

それに加えて、成績が落ちてくると上司の尾行という恐怖もついてまわります。昼休憩に公園のベンチに座ってコンビニ弁当を食べている時か、トイレに入っている時しか自分の時間は持てません。

この状況を2年間続けて、精神的なプレッシャーから何かを考えることに億劫になっている自分を発見しました。ただただ、会社と自宅を往復して外回りをするだけの生活に疑問を感じ始めたのは、その頃からでした。

しかし、ドロップアウトすれば、生活の基盤がなくなります。食費、家賃や光熱費、電話代やその他の生活に必要な資金は、ほとんど残っていません。午後10時まで働いても営業職ということで残業代はでないので、銀行の預金残高はその月に生活するだけで消費されてしまいました。

最初に考えたのは、資格を持って他社へ転職することでした。土地家屋調査士、宅建などの資格を受けるために通信教育の資料を集めて研究しました。しかし、最低限度のスクーリングがあるので、有給が無いに等しい職場では事実上資格取得は断念するしかありませんでした。

次に考えたのは、給与水準は低くても時間に余裕のある会社への転職でした。空いた時間を使って資格を取得するのが目的です。しかし、これも、なかなか条件のいいところが見つからず断念しました。

最終的に決断した方法は、アルバイトをつないで生計を立てながら資格試験を受ける方法でした。幸いアルバイトの時給は最低賃金法に守られているので、体を壊さない限りは、出来高払いとは言え継続的に生活費を稼ぐことができます。

これらのことを着々と計画していくうちに徐々に自信がついて、以前のプライドが蘇ってきました。社畜から脱出するためには、希望を持つことが必要だったのです。

退社するとき、上司は退職願を机に叩きつけて、取り下げることを強要しました。しかし、それでも退社の意思が固いことを告げると、激高して家族を脅迫するとまで言いました。

結局、そんな言葉はブラフだと思っていたので、上司に背を向けると黙って会社をあとにしました。その時の気分は、とても清々しいものでした。今は、バイトをつないで生活費を稼ぎ、資格試験取得のための準備をしています。肉体的にはきついバイトもありますが、精神的にはこれ以上ないコンディションだと思っています。

この体験から、まず自分の置かれた現状に気づくことが大切です。次に、そこから抜け出すための具体的方策を探って希望を持つことです。最終的には、どんなことがあっても辞めるという意思を固めて退社することです。

脅しは、ただのブラフです。自分を信じて実行することこそが自分を守る道なのです。真剣に自分と向きあいましょう。